たいらくんの政治経済。

BLOG

2015/01/29

【コラム: 濱田多会子】現代日本人にとっての留学の意義



先日読んだ新聞で、今年は薩摩藩第一次英国留学生が英国に渡ってから150周年記念だと知りました。その時代は日本では学べない戦術、技術、政治経済政策が主に留学の目的でしたが、現代においては日本で学べない事は殆どなく、留学の意味合いが過去に比べて明らかに変わったと言えます。そんな中で何の為に高額な授業料や生活費を払ってまで留学するのか、現代における日本人にとっての留学の意義とは何かを考察したいと思います。

まず日本に一時帰国した時に驚いたのが、インバウンド観光の追い風を受けて、訪日外国人に密着する番組が急増していた事です。外国人の日本愛をアピールするような「外国人がびっくりした~」「外国人も感激」といったキャッチコピーが散見されるようになりました。 

その一方で、2014年のノーベル賞受賞者中村修二氏などの様に、日本人の若者は海外に出て、日本の遅れている点、悪い所を見極める力をつけろ、という声も少なからずあります。中村氏によれば、閉鎖的な日本に住んでいる若者達は海外の考えを知らず、ほとんど政府による「マインドコントロール」を受けている状態だと言います。 

あくまで個人的な見解ですが、私は留学の目的とはそのどちらでも無いと思っています。 此れは三島由紀夫の「若きサムライたちへ」で彼が主張した ‘お茶漬けナショナリズム’にも似ていますが、現代における日本人にとっての留学の目的とは、世界を知った上で日本という国を自己の力で解釈する力をつける事であると考えています。

外国人に愛され評価されている日本を愛するのでも無く、文化的にも閉鎖的で経済が芳しくない日本を嘆き見捨てるのでも無く、自らの力で日本を理解し評価する力が今の日本人に一番必要なものではないかと考察します。 

ビーフステーキとお茶漬けを比べてどちらが美味い不味いではなく、ただ単にお茶漬けは美味しいだけでいいではないか、海外に住んで2年経ちそんなことを思うようになりました。


【著者プロフィール】
濱田多会子(Taeko Hamada), ロンドン大学東洋アフリカ学院在籍, 社会人類学専攻, 趣味: 思想・歴史本を読むこと、睡眠、可愛いもの、料理、物件探し、スーパーのチラシを眺めること  

0 件のコメント:

コメントを投稿