たいらくんの政治経済。

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2014/08/22

もう一歩先の観光大国、日本へ

日本の駅や観光施設の英語表記は十分?

ロンドン大学の研究機関で稼いだ給料を惜しげも無く注ぎ込んだ東欧旅行も今日で21日目。チェコの首都プラハは特に気に入ったが、今滞在しているポーランドも物価がとても安くて過ごしやすい。東欧の気候は8月でも日中の気温が25度程度で、日本の猛暑を伝えるニュースを見る度にまるで異世界にでもいるような気分になる。

滞在先では大抵、バックパッカーが集まるドミトリーに泊まっている。4人から8人程度で大部屋をシェアするのだが、これがまた一人旅にはうってつけの宿泊スタイル。互いに貴重な観光情報を交換できるし、朝までウォッカを飲み続けながら他愛のない話で盛り上がることもできる。

そうした会話の中で、殆ど必ずといって良いほど尋ねているのが、日本を訪れたことがあるかという質問。残念なことに、多くのバックパッカーに首を横に振られてしまうのだが、興味深いのはその理由だ。

大半は、物価が高すぎることや、アクセス性の悪さを挙げる。日本人ですら東京や大阪といった主要都市の物価が安いとは思わない上に、最近消費税も上がった。だが、実際のところ地方都市であれば物価は西欧諸国のそれと殆ど変わらない上に、安いホテルやレストランの数も決して少なくはない。アクセス性の悪さについては、バックパッカーの多くが複数国を一度に訪れる傾向にあることも関係してくるかもしれない。日本は島国なので、飛行機を利用することになるが、LCCの普及が欧米諸国と比べて遅れをとっている日本への便はまだ少し手が届きにくいのかもしれない。地理的な問題は解決のしようがないが、その分入国しやすいよう交通機関を整備することはまだまだ対応が可能かもしれない。

更に注目すべきなのが、英語が通じにくいという点。東欧に来て驚いたのが、英語はもちろんのこと、ドイツ語とロシア語とスペイン語の併記が駅や有名観光地などの標識になされている点だ。ポーランドやチェコを旅する中で、道行く人に英語で場所を訪ねても全く問題はなかった。駅員や観光地のスタッフに至っては、簡単な日本語の挨拶さえできる人も少なくない。

もっとも、言葉さえも全く通じない環境で過ごすことに意義を見出す人もいるにはいるが、バックパッカーを含む多くの観光客は最低限度の英語でのコミュニケーションが取れることを前提にしている人が少なくない。そういった視点で日本を見つめなおすと改善すべき点は多い。駅や観光施設の標識、レストランのメニュー、ホテルの室内設備の利用方法といった重要な情報は大抵、日本語だけで記載されているか、外国人にとっては意味不明すぎるローマ字表記が読めないほど小さく併記されている。東欧諸国から学べることは、基本的に全国の主要都市のレストランやホテルは英語でのメニュー表記を実施することや国内全ての空港や駅が英語はもちろん、日本を訪れている主要な観光客の言語である韓国語や中国語、タイ語での表記も進めること。

日本政府観光局が公開している統計データによれば、英語圏出身者を除く主要な訪日外国人は、韓国人(2,456,165人)が最も多く、2位台湾人(2,210,821人)、3位中国人(1,314,437人)、4位香港人(745,881人)、5位タイ人(453,642人)と続く。日本を訪れてくれる人々の母国語で必要な情報を提供することこそ、客人をもてなす最善の方法だ。

複数の言語で同じ情報を表示することは往々にして雑多な状態になりやすいが、こうした問題はデザインの向上で解決できる上に、たとえ現状よりもごちゃごちゃしたところで得られる効用の方が遥かに大きい。

最後に、これは個人的な意見だが、日本には無料で使えるwifiスポットがまだまだ少ない気がする。日本を訪れる外国人観光客にとって、ガイドブックだけでは不十分な情報は少なくない。例えば、鉄道やバス等といった公共交通機関のタイムリーな運行情報や乗換情報、レストランのレビューといった情報はガイドブックだけでは物足りない反面、インターネット上では十分過ぎる程提供されている。

ポーランド滞在中の話だが、急遽滞在先を変更したいと思った時に、下車した駅のホームにポーランド国鉄が提供しているフリーwifiがあったために、新たな滞在先までの鉄道情報やホテルの予約変更などが簡単にできた。更に、ポーランド国鉄は、鉄道の予約やキャンセルが手軽にできるスマートフォン向けアプリまで準備しており、クレジットカードの情報を登録するだけで、発券所に行く必要さえない。

そう考えると、ロクにwifiもない、JR駅員の英語力も信頼できない、みどりの窓口までの行き先を示す英語標識もない、そもそもみどりの窓口とはなにか説明する英文表記もない、なんとかみどりの窓口に辿り着いてもぐったりするほどの長蛇の列が出迎えてくれるのだから、日本はことごとく観光客に優しくない国なのかもしれない。

とはいえ、日本には十分過ぎるほどの観光資源と外国人ファンがいる。アニメ産業を主力としたクール・ジャパンはフランスやイギリスをはじめとした西欧諸国で絶大な人気を誇る上、アジアからもディズニーランドやハリーポッターで大人気のUSJを目当てに日本を訪れようとする外国人は少なくない。実際、法務省資料によれば、日本を訪れる外国人の数は、金融危機直後の2009年や東日本大震災が起こった2011年を除いて、順調に伸び続けている。

食べ物もお酒も美味しく、伝統産業も未だ活気満ち、新幹線をはじめとする世界トップレベルの安全性と正確性を誇る鉄道網に手厚い顧客サービス。日本には観光客を惹きつけるだけの余り余る程の魅力があるが故に、更なる観光大国に向けた飛躍と改善の動機を探すことは決して難しいことではない。

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